今回紹介するのは児玉敬(たかし)さん(平成12年度卒)。
現在、ロート製薬株式会社でスキンケア製品開発部の
開発1グループリーダーとして活躍されています!

現在、大手企業の製品開発の第一線でご活躍中と
いうことで、大変お忙しい身であるにも関わらず、
快くインタビューに応じてくださいました!

刺激になるお話をたくさんいただいていますので
ぜひ最後までお読みください!(^^)/
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①本校を卒業してから今の仕事に至るまでの経緯を教えてください。
【広島から大阪へ!"化学好き"が導いた研究と挑戦の道】
私は普通科進学コースに入学し、1999年3月に卒業しました。その後、近畿大学理工学部理学科化学専攻へ進学しました。
生物は難しいと感じていた一方で、化学には「面白そう」という興味がありました。さらに匂いに敏感な性格だったこともあり、「物質を扱う研究は自分に合うかもしれない」と思ったのがきっかけです。実は広島から都会(大阪や東京)に出たい気持ちも強かったのですが、東京の大学は残念ながら不合格...。ご縁をいただいた近畿大学で勉学と共にサッカーサークルやアルバイトなど様々してきました。出会いを通して人との関わり方を学び学生生活を満喫しました。
2003年には大学院総合理工学研究科に進学し、有機化学を専攻。新薬骨格の合成ルートをテーマに、研究しました。大きな成果は出せなかったものの、試行錯誤の中で「失敗から学び、次に活かす姿勢」を身につけられたことは、大きな財産になったと思います。
【就職活動と最初のキャリア】
修士1年の冬から就職活動を始めました。当時は就職氷河期の終わり頃で競争率もまだ高く、徹夜でエントリーシートを書いた日々を覚えています。研究もうまくいかず、就職活動もなかなか進まない、そんな苦しい時期でした。でもこの経験を通して「可能性を考え、自ら行動する力」を得られたことは、今でも私の強みになっています。
2005年、縁あって化粧品・医薬部外品を扱う製造販売会社に研究員として入社しました。配属先は希望していた商品開発ではなく、基礎処方研究でして当時は戸惑いましたが、今思えば、この時期が処方技術者としての基礎を築く大切な時間でした。その後は商品開発、製造技術、学術、基礎研究など幅広い部門を経験し、「もっと広く人を幸せにするモノづくりに関わりたい」と思い、転職を決意しました。
【人に愛される商品開発をめざして】
2016年、現在の会社(ロート製薬)のスキンケア製品開発部に配属されました。実は新卒時の就職活動では2次面接で不合格になった会社なので、不思議なご縁を感じました。ロート製薬は常に新しいことに挑戦する、とてもユニークで多様性のある会社です。私もこれまでの経験を活かし、自信をもって商品開発や研究に携わることができました。
「なぜ化粧品研究なのか?」と聞かれることがあります。理由は二つあり、①匂いに敏感で香水や香料が好きだったこと、②大学での基礎研究を通じて「目の前の人に喜んでもらえる研究がしたい」と思ったことです。
これまで「肌ラボ」「オバジ」「エピステーム」などのスキンケア商品開発に関わり、理想の使用感を実現するために数百回の試作を行ったこともあります。大切にしているのは「使う方のことを徹底的に想いながら、成分ひとつひとつを肌と頭で理解して製品を形にすること」。開発への思いや商品の魅力を伝える工夫を重ねる中で、美容雑誌で受賞したり、新商品発表会でお客様やメディアに直接伝える事もしてきました。

2021年から2023年までは化粧品技術の基礎研究に従事し、商品の価値をさらに高める技術開発に挑戦しました。心地よさを生理反応で評価する技術や、有用成分を肌に届けるための新しい技術研究、ヒアルロン酸が肌に必要な理由を解明する研究などに取り組み、特許出願や学会発表での受賞につながりました。

②現在のお仕事の内容を教えてください。
【スキンケアの可能性 ― チームとともに挑むモノづくり】
現在は日焼け止め、リップ、洗顔などのスキンケア製品を開発するチームのリーダーを務めています。
「ロート」「メンソレータム」など、多くのお客様に親しまれているブランドの商品を手掛け、日本だけでなくヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界にも展開しています。
ロート製薬はアイケア、スキンケア、内服、食品、メディカルなど幅広い事業を展開しており、さらに基礎研究も行っています。そのためさまざまな分野と連携し、新しい可能性を生み出せることは大きなやりがいです。
https://episteme-net.com/science

また、チームメンバーが新しい発見をして、それが研究や商品開発を通してお客様の喜びにつながったときは、自分のことのように嬉しく感じます。仲間と一緒に「お客様の幸せ」を形にできる瞬間は、この仕事の一番の魅力です。
https://www.rohto.co.jp/research/researchnews/technologyrelease/2024/1114_01/
もちろん大変なこともあります。研究で生み出した技術や製品が「本当にお客様が求めているものなのか?」「期待のさらに先にあるものなのか?」という問いに向き合うことです。企画部門をはじめ、多くの仲間と議論を重ね、場合によっては方向転換することもあります。簡単ではありませんが、だからこそ最終的に「自信をもってお届けできる商品」が完成したときの達成感は大きく、この仕事の醍醐味だと感じています。

③将来の夢や目標を教えてください。
【愛される化粧品をつくり続けたい ― 技術で未来へ走り続ける】
化粧品技術者として「愛される化粧品」をつくり続けることが目標です。
モノづくりには知識や技術だけでなく、感性も大事です。経験も大切ですが「今を感じ取る感覚」は欠かせません。昨今は時代や環境は目まぐるしく変化していますが、その中でも使ってくださる方を想い、常に期待の先を目指して仲間とともに形にしていきたいと思っています。そしてその時、私は技術で貢献し続ける存在でありたいですし、まだまだ走り続けたいと思います。

④後輩達にメッセージをお願いします。
【感覚・考え・伝える力 ― 君の"今"が未来を変える】
私たちは一見「当たり前」のようでいて、実は不思議に満ちた世界に生きています。普段は気づかないことも多いですが、少し視点を変えるだけで、そこには素晴らしさや未知の可能性が広がっています。その魅力に気づくために、ぜひ次の3つを意識してみてください。
・感覚を大切にする
人にはそれぞれ独自の「感覚」があります。その感覚から生まれる小さな気づきを大事にしてください。変化に気づけば興味が湧き、興味は行動につながります。そして行動で得た経験は、「無駄なことは一つもなく必ず強みになる」と思います。
・自分の考えを持つ
今は情報を簡単に手に入れられる時代です。でも大事なのは「調べて知ったこと」だけでなく、自分の感覚や経験をもとにした「自分なりの答え」を持つことです。社会にはひとつの正解はありません。だからこそ経験や人との議論を通して考えをアップデートし続けることが、成長につながります。
・伝えることと、伝わること
多様性のある社会では、自分の考えと相手の考えが違うのは当たり前です。「伝える=伝わる」ではありません。どうすれば相手に伝わるのかを工夫することが大切です。そこには想像力も、科学的な裏付けも、そして「想い」も必要です。自分が感じた素晴らしさを「伝わる形」にしていく努力は、社会人になったとき大きな武器になります。伝え、そして伝わったときに仲間が生まれ、これまで見えなかった世界の素晴らしさに気づける自分になっているはずです。
最後に、君の"今"が未来を変える原動力です。今を全力で楽しむことを大切にしてください。
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児玉さん、貴重なお話をありがとうございました!
今回の記事の中で掲載した製品の写真を見て
「あ、知ってる!」「それ使ってる!」
と思った人も多いのでは無いでしょうか?

そんな人気商品の数々を
どんな方がどんな想いで世に送り出しているのか--
これから将来の進路を決めていく皆さんにとって
とても刺激になるインタビューだったかと思います!
なお、児玉さんには本年度、高2生を対象に行われた
「スキンケア講座」にもご協力いただきました!
ロート製薬×ププレひまわり×近大福山!高2総合探究「スキンケア講座」を開講しました☆ - スクールブログ|近畿大学附属広島高等学校・中学校福山校
お忙しい中、わざわざ大阪から本校にお越しくださり、
生徒たちに貴重な体験談を話してくださいました!
生徒たちも大変喜んでいました。重ねてお礼申しあげます。
最後になりましたが、今後の児玉さんのますますの
ご活躍を母校として応援しています!
これからも多くの人たちから愛される化粧品の開発、
がんばってくださいね!(^^)/
